ホンダナノスキマ

本棚の隙間です。主に漫画の感想です。

アイラブ『ラブラブエイリアン』!

ラブラブエイリアン(1) (ニチブンコミックス)

ラブラブエイリアン(1) (ニチブンコミックス)

 

それは、ある晩のこと。女性専用アパートに、突如として不時着した宇宙船。そこから現れたのは、小さな宇宙人だった。脅威の科学力を有し、その気になれば20分で地球を滅ぼすことができるという超高度生命体・宇宙人。アパートの住人に対する彼らの要求はふたつ。ひとつ、宇宙船の修復が完了するまで居候したい。ひとつ、ナサには連絡しないで欲しい――。

 

ということで、岡村星の『ラブラブエイリアン』。登場する宇宙人は、書影の通りの手のひらサイズでありまして、その見た目と、超高度生命体らしい率直な物言いとのギャップが、まあ端的に言ってかわいかったりするわけでして、だから「宇宙人もっと見たい」と思うのですが、この漫画、宇宙人があまり紙面に登場しません。

実際にどのくらいの頻度で登場するのか数えてみたところ、『ラブラブエイリアン』単行本1巻、扉絵等を除いた本編154ページに描かれた870コマ中、宇宙人が出てきたのは385コマでした。つまり割合としては、44.3エイリアンということです。

はい、ピンと来ませんね。すみません。他の作品と比較してみましょう。「異星の存在が地球に現れて地球人と交流する」という設定の漫画を探したところ、本棚に『ハルシオン・ランチ』があったので、こちらも登場頻度を数えてみます。1巻の全711コマ中、宇宙人(正確には違いますが便宜上こう呼びます)が描かれていたのは340コマでした。つまり割合として、47.8ヒヨスということです。

はい、割合はあまり変わらなかったですね。すみません。ただですね、各話毎に見ていくと、『ハルシオン・ランチ』1話当たりの宇宙人登場回数の割合が40ヒヨス後半から50ヒヨス前半と安定しているのに対して、『ラブラブエイリアン』は割合の高い回では87.1エイリアン、低い回では11.4エイリアンと、各話によってバラつきがあるわけです。11.4エイリアンという割合はあれですからね、44コマ中5コマしか登場してないですからね。

さらにですね、たとえば『ラブラブエイリアン』の「vol.11」は30コマ中20コマの66.6エイリアンという高めの割合で宇宙人が登場しますが、「壊れた洗濯機に宇宙人が知性を与えて故障箇所を特定する」という内容のこの回、洗濯機は21コマ登場で、70.0センタッキですからね。宇宙人、洗濯機に負けてますからね。

そもそもですね、

岡村星『ラブラブエイリアン』

(岡村星『ラブラブエイリアン』 P33)


岡村星『ラブラブエイリアン』

(同 P118)

こういう描かれ方も、登場回数としてカウントしています。だいぶ甘い基準でもってですね、カウントしているわけでして、ですから、最初に述べた「宇宙人があまり登場しない」という見解は、まあ数字にですね、してしまいますと、ぼやけた感じになってしまいましたけれども、見解としては、間違っているとは考えておりませんし、訂正するつもりもございません。『ラブラブエイリアン』には、宇宙人があまり登場しません!

 

さて、その宇宙人があまり登場しないこの作品に、ではなにが描かれているのかというと、先の画像に見られるような、女性たちの会話が延々と、です。最初の画像は好きな男性のタイプについて話している場面、ふたつの目の画像は出産を経験した女性がその印象を語る場面。宇宙人が発端に、あるいは促進剤になって始まった会話が宇宙人そっちのけで進行していくというのが、この作品の主な展開となっています。

冒頭でお話したように、こちらは「宇宙人もっと見たい」と思いながらそれを読んでいるわけですが、そうしたときになにが起こるかというと、紙面で展開される会話を「読んでいるけれど読んでない感じ」が発生します。おそらく、多くの人が日常でも経験したことがあるのではないかと思いますが、たとえば知人の好きな異性のタイプについてというまったく興味のない話を「聞いているけれど聞いてない感じ」と同じアレです。

そうやって「読んでいるけれど読んでない感じ」で油断しているところに、「男性器みたいな顔した男」だとか「麻美ゆまが好きな奴は割と根性あるやつが多い」だとか「エロをトラック競技で言うとお前ら女がエロ2周目に入った時俺らはもう30周終えてるからな」といったハイセンスなワードやセンテンスがぶち込まれてご覧なさい。笑うから。

宇宙人以外の登場人物によるとりとめのない会話がこの作品の主題であり、ならば作品には宇宙人が必要ないのではないかなんていう意見を耳にしたこともありますが、そのとりとめのナサを表現するために、宇宙人の存在は必要不可欠であると言えるでしょう。

 

ところで、この作品は1巻が売れたら続刊だとかなんだとかという話もありますので、ぜひとも売れて欲しいと思っている次第であります。果たして、とめどない彼女たちの会話に終わりのときは来るのか――? そして、ついに明かされる宇宙人の真の目的とは――? 

 

つづけ。