ホンダナノスキマ

本棚の隙間です。主に漫画の感想です。

『銀の匙 Silver Spoon』の登場人物をロープレの職業にあてはめてみた

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

野球部所属で体格もいい駒場一郎は「戦士」でどうですか。お金が大好きな稲田多摩子はもちろん「商人」。獣医志望の相川進之介は「回復系の魔法使い」とか。常磐恵次は「シーフ」。見た目で。


で、主人公の八軒勇吾は。

八軒は、通っていた中学校で努力していたはずの勉強に思うような結果と評価を得られず、高校受験や家族から逃れるように大蝦夷農業高校、通称エゾノーに入学しました。「寮があるから」という理由だけで高校を決めた彼は、将来に対する明確な目標を持って進学してきたクラスメートたちに引け目を感じています。しかし、ある時エゾノーの校長に「自分には夢が無い」ことを伝えると、「それは良い!」と返されます。

「将来に対する明確な目標を持って進学してきたクラスメートたち」は、たとえば家庭の業種や事情によって進路がほとんど決定しており、望む望まないに関わらず、明確な目標を持たざるを得ないというケースが間々あります。一方、非農家の息子である八軒にはそういった事情、つまり対峙する現実がないために、現時点では目標を語る術を持ちません。しかし、それゆえに今後どんな目標でも持ち得るわけで、だから校長をして「それは良い!」と言わしめたのではないでしょうか。

また八軒は、一般教科が苦手なクラスメートの勉強に付き合ったり、ひょんなことから始まったピザ作りの陣頭に立ったりで、いい人であることには定評があります。「お人好し過ぎて損するタイプ」という言い方をされたりもしますが、「損でも何でも、いい人のところには人が集まる」という評価を受けているのです。現時点で自分に「目標」がないから、他人の問題を自身のそれとして、全力で首を突っ込むことが可能な八軒ならではの評価ではないでしょうか。


さて、いわゆる「ロープレ」の職業や肩書きの中で、自身の目標を持っていない人って誰でしょう。その世界の人たちに起こる問題を、自身のそれとして対応可能な人って誰でしょう。その解決のため、周りから人を集めることができる人って誰でしょう。

勇者です。だから、八軒勇吾は、勇者です。

現段階では、ロープレの勇者よろしく眼前の問題に受動的に対処するばかりですが、いつか彼が彼自身の目標を持ったとき、否応なしに現実との対峙を余儀なくされます。そのときのために、今はただ、まわりを広く見ながらレベルアップに勤しめばよいのです。欲を言えば、お金も稼げるとよりよいですね。


ということで『銀の匙 Silver Spoon』、そんなメッセージが聞こえてきそうな、とても良質な少年マンガだと思うのでした。

ところで、「銀の匙」という言葉の持つ意味は、まだ本編では明かされていませんが(たぶん)、一体どんなエピソードがあるのでしょう。そちらも合わせて楽しみです。もしかして、「この銀の匙を台座から引き抜くことが出来た者こそ伝説の勇sy……うん、違うでしょうね。