ホンダナノスキマ

本棚の隙間です。

2012-01-01から1年間の記事一覧

『変身のニュース』が眩しい理由

変身のニュース (モーニングコミックス)作者:宮崎夏次系講談社Amazon『変身のニュース』には、雲になりたいと願う妹とその兄たち、死んだ恋人から送られてくる奇妙なプレゼントを受けとる女性、57回に及ぶ人工臓器の入れ替えで生きながらえながら「パパより…

『空が灰色だから』という白でも黒でもない話

空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス)作者:阿部共実秋田書店Amazon白黒つけるという言葉があるけれど、その是非を明確に判断できる事柄なんて世のなかにはそうそうない。朝食はパンにしようかお米にしようか、右に行こうか左に行こうか、進学し…

『羣青』という漫画について

羣青 上 (IKKI COMIX)作者:中村珍小学館Amazonなにがしかの物語が綴られている作品と対峙したとき、そこで描かれる世界に対し、僕はどう関わっているんだろうかと、映画や小説や漫画といった媒体の違いによって、関わり方も変わってくるんだろうかと、いつも…

『きみの家族』の軽やかな愛情

きみの家族 (芳文社コミックス)作者:サメマチオ芳文社Amazon『きみの家族』では、平山家という家族から、結婚のために姉が、大学進学のために弟が実家を離れていく様子が描かれている。四人家族の平山家だが、もちろん最初は父と母のふたりだけであり、姉が…

『町でうわさの天狗の子』の強固な日常

町でうわさの天狗の子(9) (フラワーコミックスα)作者:岩本ナオ小学館Amazon「年上好きのお母さんは夏祭りの夜に450歳年上のお父さんと恋に落ちた。」という冒頭の一節。500年近く生きている天狗のいる世界、つまり読者のそれとは違う世界が描かれているの…

『ぼくらのよあけ』で語られる強くしなやかな生きかたとは

ぼくらのよあけ(1) (アフタヌーンコミックス)作者:今井哲也講談社Amazonこの作品は、沢渡悠真をはじめとする子供たちが、自分の星へ戻ることができなくなってしまった探査船「二月の黎明」号を宇宙へ帰そうと奮闘するなかで成長していくという物語だ。 地…